桜の季節を迎えた2025年4月、新発田市の五十公野公園に全国から1万人を超えるファンが集まりました。
人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ(ももクロ)」の『春の一大事』開催のニュースに、多くの新発田市民が「なぜ新発田市で?」と驚いたのではないでしょうか。
実は、この一大イベント実現の背景には、一人の市民女性の純粋な想いと行動力がありました。
この記事では、新発田市でももクロライブが開催された感動的な経緯と、地域に与えた大きな影響について、実際の出来事をもとに詳しくご紹介します。
新発田市でももクロライブが実現した驚きの理由
新発田市での『ももクロ春の一大事2025』開催は、偶然ではありません。
その背景には、地域を愛する一人の市民の行動がありました。
24歳保育士『上野新奈』さんの市長への手紙
職業:保育士
送信時期:2024年7月
送信方法:新発田市「市長への手紙」専用フォーム
内容:「ライブの開催地として検討してほしい」
ももクロライブの新発田市開催は、市内在住の上野新奈(にな)さん(24歳)が二階堂馨市長に宛てて送った手紙がきっかけでした。
上野さんは市内で保育士として働きながら、小学校高学年の時からももクロのファン(モノノフ)として活動してきました。
新潟日報の報道によると、上野さんは2024年7月、新発田市が公式ホームページで受け付けている「市長への手紙」の専用フォームを利用して要望を送信しました。
その内容は「ライブの開催地として検討してほしい」という、シンプルながら熱意のこもったものでした。
「自分の住むまちで、ももクロが見たい」という純粋な想い
県外までライブに足を運ぶ熱心なファンだからこそ、地元での開催への憧れが強かったのです。
上野さんがこの行動を起こした背景には、長年の想いがありました。
近年は県外でのライブにも足を運んでいた上野さんは、「自分の住むまちで、ももクロが見たい」という気持ちを強く抱いていました。
ライブに行くたび、満足感とともにそんな思いが募っていたといいます。
「モノノフの声を聞いてもらおう」と考えた上野さんが思い付いたのが、新発田市の「市長への手紙」システムでした。
これは、市民の意見や要望を直接市長に届けるため、市が公式に受け付けているものです。
市長への手紙システムを活用した市民の声
市民の率直な声を市政に反映させる大切なツールとして機能しています。
新発田市の「市長への手紙」は、一般的に多くの自治体で実施されている市民参画の仕組みです。
上野さんはこのシステムを通じて、地域住民としての率直な想いを市政に届けました。
この市民の声が、後に新発田市とももクロ運営との協議のきっかけとなり、最終的に『春の一大事2025』の開催地決定につながりました。
一人の市民の想いが、1万人を超える人々が集まる大規模イベントの実現に結びついたことは、まさに地方自治の理想的な形といえるでしょう。
『ももクロ春の一大事』とは
新発田市で開催されたライブについて理解を深めるため、『ももクロ春の一大事』というイベントの背景を詳しく見てみましょう。
2017年から始まった地方自治体との協働ライブ
略称:春一(はるいち)
開始年:2011年
地方自治体協働開始:2017年
位置づけ:ももクロ3大ライブの1つ
『ももクロ春の一大事』は、『夏のバカ騒ぎ』『ももいろクリスマス』と並ぶ、ももクロ3大ライブの1つです。
『春一(はるいち)』の略称でモノノフから親しまれているこのライブは、2011年にスタートしました。
2017年からは地方自治体と協働で”町おこし”を目指すライブにリニューアルされ、現在の「笑顔のチカラ つなげるオモイ」をテーマとした形となりました。
ももクロのメンバーは、ライブパフォーマンスをするだけでなく、事前・事後を含めてその土地の観光スポットやご当地グルメ、特産品のお土産を紹介したり、地域の方と交流したりすることが特徴です。
全国の自治体から開催地を募集するシステム
2017年以降の『春の一大事』は、全国の自治体からオファーを募る形で開催地を決定しています。
ももクロの所属事務所であるスターダストプロモーションが毎年、全国各地から開催地となる自治体を募集しており、様々な条件を満たした自治体の中から開催地が選ばれます。
- 1万人規模のイベントを開催できる会場の確保
- 地元住民、警察・消防などの理解と協力
- 全国からのファンが安全にアクセスできる立地
- 機材搬入のためのインフラ整備
- 地域プロモーションへの協力
過去の開催地と新発田市が7カ所目の選ばれた街
新発田市は、『春の一大事』の地方自治体協働ライブとして7カ所目の開催地となりました。
過去の開催実績は以下の通りです。
- 2017年:埼玉県富士見市
- 2018年:滋賀県東近江市
- 2019年:富山県黒部市
- 2022年:福島県(楢葉町・広野町・浪江町の三町合同大会)
- 2023年:広島県福山市
- 2024年:京都府亀岡市
- 2025年:新潟県新発田市
新発田市の選定には、上野さんの手紙をきっかけとした市の積極的な誘致活動と、五十公野公園という理想的な会場の存在、そして市民の温かい受け入れ体制が評価されたと考えられます。
『ももクロ春の一大事2025 in 新発田市』の実際の開催状況
2025年4月12日・13日に予定された新発田市でのライブは、多くのドラマを生みました。
実際の開催状況を詳しく振り返ってみましょう。
DAY1は大成功、1万2千人が熱狂
加治川堤の桜を想起させる衣装や地元の子どもたちとのパフォーマンスが特に印象的でした。
4月12日(土)のDAY1公演は、晴天のもと予定通り開催されました。
新潟日報の報道によると、約1万2千人のモノノフが五十公野公園に詰めかけ、大いに盛り上がりを見せました。
ライブでは、新発田にちなんだ特別な演出が数多く盛り込まれました。
メンバーは新発田が誇る桜の名所である加治川堤の桜を想起させる、花びらが散りばめられた衣装で登場。
また、地元の子どもたちとのパフォーマンスも行われ、地域との結びつきを強く感じられる内容となりました。
NGT48との夢のコラボレーションも実現し、新潟らしい特色あるステージが展開されました。
会場となった五十公野公園は、一日中ファンの笑顔と歓声に包まれました。
DAY2は強風で中止、緊急配信で対応
中止の決定を受けて、ももクロは同日午後8時から公式YouTubeチャンネルで「本当に一大事な緊急配信」と題した特別番組を配信。
五十公野公園内のサンビレッジしばたでのパフォーマンスの様子が届けられ、画面越しにファンとの絆を深めました。
緊急配信では、DAY2に出演予定だった新発田はるいち合唱団(新発田市の子供総勢26名)も登場し、ももクロとの共演が実現しました。
中止というアクシデントを、むしろ新たな感動に変える対応として、多くのファンから評価されました。
アフターイベント『リトル春の一大事』で完結
会場:新発田市役所1階 札の辻広場・札の辻ラウンジ
内容:コラボ商品販売、トークショー、映像放映、抽選会
特徴:ももクロの出演はないが、ファンが楽しめる企画が充実
4月19日(土)には、新発田市役所1階の札の辻広場・札の辻ラウンジで『ももクロリトル春の一大事 in 新発田市役所』が開催されました。
このアフターイベントでは、ももクロの出演はありませんでしたが、春の一大事2025のコラボ商品やオフィシャルグッズの販売が行われました。
スペシャルトークショーとして、ももクロスタッフによる「春の一大事舞台裏トークショー」や、DAY1の映像放映、来場者全員を対象とした抽選会なども実施され、イベントの余韻を楽しむ場となりました。
新発田市とももクロのコラボレーションの魅力
『春の一大事』開催を通じて、新発田市とももクロの間には多彩なコラボレーションが生まれました。
その内容を詳しく見てみましょう。
城下町新発田の歴史と文化をPR
特産品:越後姫(いちご)、花嫁人形
シンボル:新発田城
PRポイント:歴史・文化・特産品の全国発信
新発田市は400年以上の歴史を持つ城下町です。
ももクロのメンバーは事前に新発田市を訪問し、市の魅力を全国に発信しました。
特に注目されたのは、ももクロリーダーの百田夏菜子さんの新発田訪問です。
二階堂馨市長との対談では、新発田市の特産品である『越後姫』(いちご)や、伝統工芸品の『花嫁人形』の絵をプレゼントされるなど、地域の魅力を体験する様子が公開されました。
新発田城では「春の新発田城 一大事!」と銘打った応援企画が実施され、ももクロメンバーカラーの4色ライトアップや、玉井詩織さんと佐々木彩夏さんのサイン瓦の特別公開が行われました。
開催前夜には初となる新発田城の夜間特別公開も実施され、地域の歴史的価値を改めて光を当てる機会となりました。
地元企業とのコラボ商品が続々誕生
『春の一大事』開催に合わせて、新発田市内の多くの企業がももクロとのコラボ商品を開発しました。
これらの商品は、新発田市の地域産業の魅力を全国に発信する重要な役割を果たしました。
新発田市ご当地カードゲーム:「もう、しんはったって、よばないで」のコラボバージョン
メンバーカラーごとに4種類の100ml小瓶が作られ、表にはコラボ写真、裏には家紋ラベルがデザインされました。
缶deボローニャとの特別コラボでは、5年6ヶ月の長期保存が可能な非常食用パンにももクロらしい特別デザインが施されました。
プレーン、チョコレート、メープルの3種類が用意され、災害時の備えとしても実用的な商品となりました。
新発田市ご当地カードゲーム「Don’t call me SHINHATTA 〜もう、しんはったって、よばないで〜」のももクロコラボバージョンも製作され、地域の親しみやすさとユーモアを全国に伝える商品となりました。
「聖地巡礼」スポットとして観光地化
ももクロメンバーが実際に訪れた新発田市内のスポットは、「聖地巡礼」の場所として観光資源化されました。
新発田市観光情報サイト「しばた町めぐり」では、メンバーが訪れた散策スポットを特集ページでまとめて紹介しています。
主な聖地巡礼スポットは以下の通りです。
- 蔵春閣(ぞうしゅんかく):新発田市の歴史的建造物
- 諏訪神社(すわじんじゃ):地域の信仰の中心地
- すき焼 八木:地元で愛される老舗飲食店
- 株式会社栗山米菓:「ばかうけ」で有名な新発田発祥の企業
- 新発田城・新発田城址公園:市のシンボル的存在
これらのスポットでは、ももクロ関連の展示や記念品の販売も行われ、ライブ期間以降も継続的に観光客を呼び込む効果を生んでいます。
ファンにとっては大切な「聖地」として、新発田市にとっては新たな観光資源として、相互にメリットのある関係が築かれました。
まとめ
新発田市での『ももクロ春の一大事2025』開催は、24歳の保育士・上野新奈さんの純粋な想いから始まった感動的なストーリーでした。
一人の市民の手紙が市長を動かし、最終的に1万人を超える大規模イベントの実現に結びついたことは、地方自治の理想的な形を示す事例といえるでしょう。
DAY2の中止というアクシデントがありながらも、緊急配信やアフターイベントを通じて、新発田市とももクロ、そしてファンの間に深い絆が生まれました。
城下町の歴史と文化、地元企業とのコラボ商品、そして新たな観光資源としての「聖地巡礼」スポットの誕生など、このイベントは新発田市に多方面にわたって大きな影響をもたらしました。
上野さんの「自分の住むまちで、ももクロが見たい」という想いは、地域全体を巻き込んだ素晴らしい成果として実を結んだのです。
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